哀歌3-5 ; へブル10:19-39

哀歌

第3章

3:1わたしは彼の怒りのむちによって、
悩みにあった人である。
3:2彼はわたしをかり立てて、光のない暗い中を歩かせ、
3:3まことにその手をしばしばかえて、
ひねもすわたしを攻められた。
3:4彼はわが肉と皮を衰えさせ、わが骨を砕き、
3:5苦しみと悩みをもって、
わたしを囲み、わたしを閉じこめ、
3:6遠い昔に死んだ者のように、
暗い所に住まわせられた。
3:7彼はわたしのまわりに、かきをめぐらして、
出ることのできないようにし、
重い鎖でわたしをつながれた。
3:8わたしは叫んで助けを求めたが、
彼はわたしの祈をしりぞけ、
3:9切り石をもって、わたしの行く道をふさぎ、
わたしの道筋を曲げられた。
3:10彼はわたしに対して待ち伏せするくまのように、
潜み隠れるししのように、
3:11わが道を離れさせ、わたしを引き裂いて、
見るかげもないみじめな者とし、
3:12その弓を張って、
わたしを矢の的のようにされた。
3:13彼はその箙の矢を
わたしの心臓に打ち込まれた。
3:14わたしはすべての民の物笑いとなり、
ひねもす彼らの歌となった。
3:15彼はわたしを苦い物で飽かせ、
にがよもぎをわたしに飲ませられた。
3:16彼は小石をもって、わたしの歯を砕き、
灰の中にわたしをころがされた。
3:17わが魂は平和を失い、
わたしは幸福を忘れた。
3:18そこでわたしは言った、「わが栄えはうせ去り、
わたしが主に望むところのものもうせ去った」と。
3:19どうか、わが悩みと苦しみ、
にがよもぎと胆汁とを心に留めてください。
3:20わが魂は絶えずこれを思って、
わがうちにうなだれる。
3:21しかし、わたしはこの事を心に思い起す。
それゆえ、わたしは望みをいだく。
3:22主のいつくしみは絶えることがなく、
そのあわれみは尽きることがない。
3:23これは朝ごとに新しく、
あなたの真実は大きい。
3:24わが魂は言う、「主はわたしの受くべき分である、
それゆえ、わたしは彼を待ち望む」と。
3:25主はおのれを待ち望む者と、
おのれを尋ね求める者にむかって恵みふかい。
3:26主の救を静かに待ち望むことは、良いことである。
3:27人が若い時にくびきを負うことは、良いことである。
3:28主がこれを負わせられるとき、
ひとりすわって黙しているがよい。
3:29口をちりにつけよ、
あるいはなお望みがあるであろう。
3:30おのれを撃つ者にほおを向け、
満ち足りるまでに、はずかしめを受けよ。
3:31主はとこしえにこのような人を
捨てられないからである。
3:32彼は悩みを与えられるが、
そのいつくしみが豊かなので、
またあわれみをたれられる。
3:33彼は心から人の子を
苦しめ悩ますことをされないからである。
3:34地のすべての捕われ人を足の下に踏みにじり、
3:35いと高き者の前に人の公義をまげ、
3:36人の訴えをくつがえすことは、
主のよみせられないことである。
3:37主が命じられたのでなければ、
だれが命じて、その事の成ったことがあるか。
3:38災もさいわいも、
いと高き者の口から出るではないか。
3:39生ける人はどうしてつぶやかねばならないのか、
人は自分の罪の罰せられるのを、
つぶやくことができようか。
3:40われわれは、自分の行いを調べ、
かつ省みて、主に帰ろう。
3:41われわれは天にいます神にむかって、
手と共に心をもあげよう。
3:42「わたしたちは罪を犯し、そむきました、
あなたはおゆるしになりませんでした。
3:43あなたは怒りをもってご自分をおおい、
わたしたちを追い攻め、殺して、あわれまず、
3:44また雲をもってご自分をおおい、
祈を通じないようにし、
3:45もろもろの民の中に、
わたしたちをちりあくたとなさいました。
3:46敵はみなわたしたちをののしり、
3:47恐れと落し穴と、荒廃と滅亡とが、
わたしたちに臨みました。
3:48わが民の娘の滅びによって、
わたしの目には涙の川が流れています。
3:49わが目は絶えず涙を注ぎ出して、やむことなく、
3:50主が天から見おろして、
顧みられる時にまで及ぶでしょう。
3:51わが目はわが町のすべての娘の最期のゆえに、
わたしを痛ませます。
3:52ゆえなくわたしに敵する者どもによって、
わたしは鳥のように追われました。
3:53彼らは生きているわたしを穴の中に投げ入れ、
わたしの上に石を投げつけました。
3:54水はわたしの頭の上にあふれ、
わたしは『断ち滅ぼされた』と言いました。
3:55主よ、わたしは深い穴からみ名を呼びました。
3:56あなたはわが声を聞かれました、
『わが嘆きと叫びに耳をふさがないでください』。
3:57わたしがあなたに呼ばわったとき、
あなたは近寄って、『恐れるな』と言われました。
3:58主よ、あなたはわが訴えを取りあげて、
わたしの命をあがなわれました。
3:59主よ、あなたはわたしがこうむった不義を
ごらんになりました。
わたしの訴えをおさばきください。
3:60あなたはわたしに対する彼らの報復と、
陰謀とを、ことごとくごらんになりました。
3:61主よ、あなたはわたしに対する彼らのそしりと、
陰謀とを、ことごとく聞かれました。
3:62立ってわたしに逆らう者どものくちびると、
その思いは、ひねもすわたしを攻めています。
3:63どうか、彼らのすわるをも、立つをも、
みそなわしてください。
わたしは彼らの歌となっています。
3:64主よ、彼らの手のわざにしたがって、彼らに報い、
3:65彼らの心をかたくなにし、
あなたののろいを彼らに注いでください。
3:66主よ、怒りをもって彼らを追い、
天が下から彼らを滅ぼしてください」。

第4章

4:1ああ、黄金は光を失い、
純金は色を変じ、
聖所の石は
すべてのちまたのかどに投げ捨てられた。
4:2ああ、精金にも比すべきシオンのいとし子らは、
陶器師の手のわざである土の器のようにみなされる。
4:3山犬さえも乳ぶさをたれて、その子に乳を飲ませる。
ところが、わが民の娘は、
荒野のだちょうのように無慈悲になった。
4:4乳のみ子の舌はかわいて、上あごに、ひたとつき、
幼な子らはパンを求めても、これに与える者がない。
4:5うまい物を食べていた者は、
落ちぶれて、ちまたにおり、
紫の着物で育てられた者も、
今は灰だまりの上に伏している。
4:6わが民の娘のうけた懲しめは、
ソドムの罰よりも大きかった。
ソドムは昔、人の手によらないで、
またたくまに滅ぼされたのだ。
4:7わが民の君たちは雪よりも清らかに、
乳よりも白く、
そのからだは、さんごよりも赤く、
その姿の美しさはサファイヤのようであった。
4:8今はその顔はすすよりも黒く、
町の中にいても人に知られず、
その皮膚は縮んで骨につき、
かわいて枯れ木のようになった。
4:9つるぎで殺される者は、
飢えて死ぬ者よりもさいわいである。
彼らは田畑の産物の欠乏によって、
刺された者のように衰え行くからである。
4:10わが民の娘の滅びる時には
情深い女たちさえも、
手ずから自分の子どもを煮て、それを食物とした。
4:11主はその憤りをことごとく漏らし、
激しい怒りをそそぎ、
シオンに火を燃やして、
その礎までも焼き払われた。
4:12地の王たちも、世の民らもみな、
エルサレムの門に、あだや敵が、
討ち入ろうとは信じなかった。
4:13これはその預言者たちの罪のため、
その祭司たちの不義のためであった。
彼らは義人の血をその町の中に流した者である。
4:14彼らは盲人のように、ちまたにさまよい、
血で汚れている。
だれもその衣にさわることができない。
4:15人々は彼らにむかって、「去れよ、けがらわしい」、
「去れよ、去れよ、さわるな」と叫んだので、
彼らは逃げ去って放浪者となったが、
異邦人の中でも人々は「もうわれわれのうちに
宿ってはならない」と言った。
4:16主はみずから彼らを散らして、
再び彼らを顧みず、
祭司を尊ばず、
長老をいたわられなかった。
4:17われわれの目は、むなしく助けを待ち望んで
疲れ衰えた。
われわれは待ち望んだが、
救を与え得ない国びとを待ち望んだ。
4:18人々がわれわれの歩みをうかがうので、
われわれは自分の町の中をも、
歩くことができなかった。
われわれの終りは近づいた、日は尽きた。
われわれの終りが来たからである。
4:19われわれを追う者は空のはげたかよりも速く、
彼らは山でわれわれを追い立て、
野でわれわれを待ち伏せる。
4:20われわれが鼻の息とたのんだ者、
主に油そそがれた者は、彼らの落し穴で捕えられた。
彼はわれわれが「異邦人の中でも
その陰に生きるであろう」と思った者である。
4:21ウズの地に住むエドムの娘よ、
喜び楽しめ、
あなたにもまた杯がめぐって行く、
あなたも酔って裸になる。
4:22シオンの娘よ、あなたの不義の罰は終った。
主は重ねてあなたを捕え移されない。
エドムの娘よ、主はあなたの不義を罰し、
あなたの罪をあらわされる。

第5章

5:1主よ、われわれに臨んだ事を
覚えてください。
われわれのはずかしめを顧みてください。
5:2われわれの嗣業は他国の人に移り、
家は異邦人のものとなった。
5:3われわれはみなしごとなって父はなく、
母はやもめにひとしい。
5:4われわれは金を出して水を飲み、
価を払って、たきぎを獲なければならない。
5:5われわれは首にくびきをかけられて追い使われ、
疲れても休むことができない。
5:6われわれは足りるだけの食物を獲るために、
エジプトおよびアッスリヤに手をさし伸べた。
5:7われわれの先祖は罪を犯して、すでに世になく、
われわれはその不義の責めを負っている。
5:8奴隷であった者がわれわれを治めるが、
われわれをその手から救い出す者がない。
5:9われわれは荒野のつるぎのゆえに、
おのが命をかけて食物を獲る。
5:10われわれの皮膚は飢餓の激しい熱のために、
炉のように熱い。
5:11女たちはシオンで犯され、
おとめたちはユダの町々で汚された。
5:12君たる者も彼らの手でつるされ、
長老たちも尊ばれず、
5:13若者たちは、ひきうすをになわせられ、
わらべたちは、たきぎを負って、よろめき、
5:14長老たちは門に集まることをやめ、
若者たちはその音楽を廃した。
5:15われわれの心の喜びはやみ、
踊りは悲しみに変り、
5:16われわれの冠はこうべから落ちた。
わざわいなるかな、われわれは罪を犯したからである。
5:17このために、われわれの心は衰え、
これらの事のために、われわれの目はくらくなった。
5:18シオンの山は荒れはて、
山犬がその上を歩いているからである。
5:19しかし主よ、あなたはとこしえに統べ治められる。
あなたの、み位は世々絶えることがない。
5:20なぜ、あなたはわれわれをながく忘れ、
われわれを久しく捨ておかれるのですか。
5:21主よ、あなたに帰らせてください、
われわれは帰ります。
われわれの日を新たにして、
いにしえの日のようにしてください。
5:22あなたは全くわれわれを捨てられたのですか、
はなはだしく怒っていられるのですか。


へブル

第10章

10:19兄弟たちよ。こういうわけで、わたしたちはイエスの血によって、はばかることなく聖所にはいることができ、10:20彼の肉体なる幕をとおり、わたしたちのために開いて下さった新しい生きた道をとおって、はいって行くことができるのであり、10:21さらに、神の家を治める大いなる祭司があるのだから、10:22心はすすがれて良心のとがめを去り、からだは清い水で洗われ、まごころをもって信仰の確信に満たされつつ、みまえに近づこうではないか。10:23また、約束をして下さったのは忠実なかたであるから、わたしたちの告白する望みを、動くことなくしっかりと持ち続け、10:24愛と善行とを励むように互に努め、10:25ある人たちがいつもしているように、集会をやめることはしないで互に励まし、かの日が近づいているのを見て、ますます、そうしようではないか。
10:26もしわたしたちが、真理の知識を受けたのちにもなお、ことさらに罪を犯しつづけるなら、罪のためのいけにえは、もはやあり得ない。10:27ただ、さばきと、逆らう者たちを焼きつくす激しい火とを、恐れつつ待つことだけがある。10:28モーセの律法を無視する者が、あわれみを受けることなしに、二、三の人の証言に基いて死刑に処せられるとすれば、10:29神の子を踏みつけ、自分がきよめられた契約の血を汚れたものとし、さらに恵みの御霊を侮る者は、どんなにか重い刑罰に価することであろう。10:30「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と言われ、また「主はその民をさばかれる」と言われたかたを、わたしたちは知っている。10:31生ける神のみ手のうちに落ちるのは、恐ろしいことである。
10:32あなたがたは、光に照されたのち、苦しい大きな戦いによく耐えた初めのころのことを、思い出してほしい。10:33そしられ苦しめられて見せ物にされたこともあれば、このようなめに会った人々の仲間にされたこともあった。10:34さらに獄に入れられた人々を思いやり、また、もっとまさった永遠の宝を持っていることを知って、自分の財産が奪われても喜んでそれを忍んだ。10:35だから、あなたがたは自分の持っている確信を放棄してはいけない。その確信には大きな報いが伴っているのである。10:36神の御旨を行って約束のものを受けるため、あなたがたに必要なのは、忍耐である。
10:37「もうしばらくすれば、
きたるべきかたがお見えになる。
遅くなることはない。
10:38わが義人は、信仰によって生きる。
もし信仰を捨てるなら、
わたしのたましいはこれを喜ばない」。
10:39しかしわたしたちは、信仰を捨てて滅びる者ではなく、信仰に立って、いのちを得る者である。


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